資産の総額は932億1千万円であり、うち土地が422億8千万円、建物が268億5千万円、工具器具備品が75億円、教育研究図書が26億1千万円、現金及び預金が92億5千万円です。
負債の総額は334億3千万円です。うち固定負債として償却資産を承継?取得した場合に当該資産の見返として計上し、減価償却処理により費用が発生する都度、取り崩して収益化する取り扱いとされる資産見返負債が94億1千万円、国立学校特別会計から独立行政法人国立大学財務?経営センター(現:独立行政法人大学改革支援?学位授与機構)が承継した財政投融資資金借入金等のうち、本学が債務を負担することとされた相当額が9億2千万円、長期借入金(国立大学法人化後における借入額)相当額が119億5千万円です。
純資産の総額は597億7千万円であり、資本金(国からの出資金)が506億7千万円、資本剰余金が37億4千万円、利益剰余金が53億6千万円です。
国から出資された教育?研究用の建物等については、教育研究に用いるため、減価償却に対応すべき収益の獲得が予定されないことから、減価償却処理を損益計算に反映させず、資本剰余金から控除する取り扱いとしておりますが、その損益外減価償却累計額は123億円1千万円です。
経常費用の総額は、前年度に比べ12億4千万円(3.9%)増の327億2千万円です。
主な増加要因として、病院再整備及び病院改修に伴う資産の減価償却費と附属病院増収に伴う診療材料費等の増加により、診療経費が5億5千万円(5.3%)増となったこと、看護師及びコ?メディカル等職員の増員に伴う、職員人件費の5億4千万円(6.9%)増、といったことが挙げられます。
経常収益の総額は、前年度に比べ8億2千万円(2.6%)増の323億3千万円です。
主な増加要因として、附属病院収益が、病床稼働率の増加、入院患者数の増加と新たな施設基準の取得による入院診療単価の向上、外来患者数の増加と外来診療単価の向上によって、6億8千万円(4.5%)増となったこと、寄附金収益が、寄附金執行額増に伴い1億6千万円(54.0%)増となったこと、受託研究等収益が、受託研究等受入増に伴い1億5千万円(18.4%)増となったことが挙げられます。
平成27事業年度、損益計算書上では4億5千万円の当期総損失が発生しました。主な要因は、附属病院再整備における新病棟?医療機器等の取得に伴う減価償却費の増加によるものです。
長期借入金を財源とする場合、費用(減価償却費)が計上され、償還財源は基本的には附属病院収入(附属病院収益)で賄うこととなりますが、償還の猶予期間があることから、附属病院収益と減価償却費との間にタイムラグが生じ、償還の猶予期間中は減価償却の費用のみが計上されます。本事業年度はこの期間に当たり、費用のみが発生する状況であるため、損益計算上の損失発生の大きな要因となりました。
また、この再整備に併せて医療機器等の設備整備も多く実施しており、施設整備に比べると取得金額は小さいですが、耐用年数が短いため、計上される減価償却費が大きくなり、同じく損失発生の要因となっています。
ただし、減価償却費は現金支出を伴わないため、キャッシュベースで作成する「決算報告書」の「収入-支出」は 2千万円のプラスとなっており、附属病院を含めた大学全体の予算?決算は支出超過とならず、概ね計画通り予算が執行されております。
業務活動によるキャッシュ?フローは20億5千万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ?フローは17億3千万円支出超過、財務活動によるキャッシュ?フローは5億4千万円収入超過となっており、期末資金残高は、前年度に比べ8億6千万円増の71億9千万円となりました。
なお、この期末資金残高と貸借対照表における現金及び預金92億5千万円との差額20億6千万円は寄附金等であり、それを定期預金として預入したものです。
国民の負担に帰すべき実質的なコストは、131億2千万円です。この額は、損益計算書上の費用から、納税者たる国民の負担とはならない自己収入等を控除し、国民の負担となる損益外減価償却等相当額、損益外利息費用相当額、損益外除売却差額相当額、引当外賞与増加見積額、引当外退職給付増加見積額、機会費用について加算して算定しています。