家庭科からひらく、
日常の中の防災
- 末川 和代
- SUEKAWA Masayo
- 教育学部 講師 (家庭科教育?生活経営学?防災教育)
Profile
鹿児島県出身。2013年3月、日本女子大学家政学部家政経済学科卒業。2015年3月、日本女子大学大学院家政学研究科生活経済専攻修了。2018年3月、日本女子大学大学院人間生活学研究科生活環境学専攻修了、博士(学術)取得。その後、中高一貫校の教諭(家庭科)を経て、2019年4月から現職。消費生活アドバイザー
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一人ひとりの生活から社会を考える
「家庭科」と聞くと、調理実習や裁縫を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど実は、衣食住や家族?家庭生活、消費や環境など、私たちの暮らしそのものを見つめる教科です。私は、社会を大きな制度や経済の動きからではなく、「一人ひとりの生活」から考えるこの視点に魅力を感じています。最終的に社会の変化を受け止めるのは、私たちの日々の暮らしだからです。東日本大震災をはじめとする自然災害をきっかけに、「もし自分の生活が突然揺らいだら」と考えるようになりました。そこから、防災を家庭科の授業で扱う意味を探るようになりました。

生活を安全にすることを学ぶ教材、防災笛「infinity」を開発
日常生活にとけ込むフェーズフリーな防災へ
学校でも防災教育は行われていますが、「特別な備え」として語られることが少なくありません。しかし災害は突然やってきます。だからこそ、日常をどう過ごすかが大切なのではないかと感じています。私は、日常と非常時を分けずに捉える「フェーズフリー」の考え方を授業に取り入れています。例えば小学校で、「遠足に行くならどんな服装がよいだろう」と子どもたちと一緒に考えます。雨や迷子には気づいても、「遠足中に地震が起きるかもしれない」という発想まではなかなか広がりません。重装備にはできないけれど、安心も大切にしたい。そのバランスを話し合うなかで、子どもたちは自分の暮らしを見つめ直していきます。こうした学びの一環として、普段から身につけられる防災笛の開発にも取り組みました。防災を通して考えているのは、「自分の生活は当たり前ではない」ということです。まず自分の暮らしを大切にする。その視点が、やがて地域や社会へと広がっていく——家庭科には、そんな力があると感じています。
少し背伸びをしながら、カクテルを楽しんでいます。


