文学は、
世界を読み解く手がかり
- 磯崎 康太郎
- ISOZAKI Kotaro
- 国際地域学部 教授(ドイツ文学、文化研究)
Profile
神奈川県出身。1999年、上智大学文学研究科ドイツ文学専攻修士課程修了。2002年、同博士課程単位取得満期退学。2019年3月、博士(文学)取得。2009年、福井大学教育地域科学部准教授。2016年、同大国際地域学部准教授。2024年から現職。
研究者詳細ページ
研究の原点と、文学に潜む「心」の探求
私は19世紀のドイツ文学を研究しています。研究の始まりは、文学作品の中で自然環境をどのように表現するのかという点に興味を持ったことです。研究を進めて行くうちに「それを描こうとする人がどのように受け止め、どんな心理で向き合っているのか」が作品に大きく関わっているのではないかと考えるようになりました。自然や動物が実際に何を考えているのか知ることはできません。だからこそ、書き手は想像するしかなく、その想像が言葉となり、文学作品として形になっていきます。人間が理解しきれない出来事に向き合うとき、「どんなふうにその姿を想像するのか」。そのプロセスそのものに私は強く惹かれてきました。
“心への旅”を続けながら、次の挑戦へ
こうした心理的な視点から文学を読み解く取り組みをまとめたのが、私も編著として関わった『こころへの旅 世界文学に映る「葛藤」の諸相』です。私が担当した部分では、旧約聖書の外典(宗派によっては旧約聖書の一部とされる書物)である「ユディト記」を取り上げています。ユディトが敵将のホロフェルネスを女性的な戦略で討ち取るという物語で、文学や絵画など多くの芸術作品のモチーフとされてきました。私は、「ユディト記」とそれをモチーフとした作品を取り上げ、フロイトやユングなどの心理学の理論を用いて考察を加えています 。
授業では、文学を専攻していない学生と向き合います。そのため、「文学に触れることによって、世界の見え方がどう変わるのか」を意識した、教養としての文学を教えています。自然環境、戦争、ナショナリズムなどを題材に、学生が考えやすいところから作品の背後にある“ものの見方”を伝えることを大切にしています。
今後は、福井ゆかりの作家?中野重治にも取り組んでみたいと思っています。ドイツ文学を学んだ経歴を持つ彼の作品を読み直すことで、新しい解釈が生まれるのではないかと感じています。地域の文学と自分の専門をつなぎ、文学のさらなる広がりを探ることが、これからの展望です。

『こころへの旅 世界文学に映る「葛藤」の諸相』
2年前に同僚の先生方とリレーマラソンに出場したことがきっかけで、走ることを続けています。教育とは別の形で先生方と関われる貴重な経験でした。


