私が福井弁を研究する訳
- クリストファー ヘネシー
- Christopher Hennessy
- 国際地域学部 講師(社会言語学)
Profile
1981年、アメリカ メリーランド生まれ。2004年、メリーランド州立大学(言語学、日本語学専攻)卒業。2011年、オーストラリア国立大学大学院翻訳学準修士課程修了。2013年、早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。2013年より、福井大学語学センター、2016年より国際地域学部所属。2019年4月より大阪大学大学院文学研究科日本語学博士後期課程在学中。
研究者詳細ページ
方言と私
神戸大学に留学していた頃、日本の友人に「飲み物いりますか」と聞くと、「今イラン!」と言われ、なぜ中東の国の名前が?と不思議に思いました。日本語学専攻の私に理解できない日本語がある!ショッキングでした。
卒業後、兵庫県の高校で外国語指導助手(ALT)として働きました。その地域では、たいていの人がよそから来た知らない人にも関西弁を使って話していて、関西弁を他者にも共有したいと思っているようだと感じました。アメリカにも方言はありますが、日本ほど地域ごとに大きく変わることはないように思います。こんなことから、「方言」というものは日本人にとって大切なアイデンティティなのではないかと考えるようになりました。
私の研究分野、言語と社会の関わりを考える社会言語学の観点から、方言を話すということが、話者にとってどういう意味を持つのか、という「方言意識」をテーマに、方言の母語話者などへのアンケートやインタビューから調査し、分析しています。
研究を通してまちづくり
私の住んでいる勝山市には、繊維工場や介護施設で働く外国人が多くいます。その方たちが生まれ育った国との文化の違いに悩むのは当然ですが、地域の人が方言を話すことにより言っている内容が理解できず、コミュニティに溶け込めない、新たな人間関係が築けないなどの問題が起きている可能性があります。その地域に根付くには、外国人が文化を一方的に受け入れるだけでなく、双方向での理解が必要となります。外国人が方言を話すことにより、地域の人との関係性が近くなるのではないか。言語と文化は繋がっている。お互いの価値観をすり合わせるために、その地域の方言を理解することは重要なツールになるはずです。
外国人が根付くことは地域に多様性をもたらし、文化などが活性化すると思います。現在、日本語教育の先生たちと協力し、福井方言が勉強できるwebサイトづくりにも取り組んでいるところです。福井に住む研究者として、日本人と外国人が一緒によりよい福井を作っていく手伝いをしたいと考えています。ちなみに、私のいちばん好きな福井弁は「おもっしぇー」です。
自宅の庭園の剪定をすることにハマっています。はじめ造園業者さんにしてもらっていましたが、教えてもらいながら自分でもするようになりました。