教育学部 学校教育課程 4年
田中 達也さん
中学校の数学では、関数について学ぶとき、まず比例?反比例や一次関数といった代表的な例を中心に学習します。これは、わかりやすい関数を手がかりにしながら、関数の考え方を少しずつ身につけていくための学習順序だといえます。
しかし、関数の本質である「一つの値を決めると、それに対応する値が一つに決まる」という考え方を、子どもたちが十分に理解しているかについては、これまでも課題が指摘されてきました。例えば、グラフの形が不規則であったり、途中で切れていたりすると、数学的には関数といえる場合でも、中学生がそれを関数として認めにくいことが先行研究で示されています。
私はこうした実態に関心を持ち、中学生と大学生を対象に、「これは関数かどうか」をどのように判断しているのかを比較する調査を行いました。特に、典型的な関数の例だけでなく、多様な関数の例や、関数とはいえない例を提示することで、学習者の判断基準がどのように変化するのかを検討しました。
調査の結果、中学生は、比例や一次関数のような典型的な例の見た目に影響されやすく、関数の定義に基づいて判断する見方が十分に定着していないことが明らかになりました。一方で、多様な関数の例と関数ではない例をあわせて提示することで、「グラフの形」ではなく、「一つの値に対して対応する値が一つに決まるか」という定義に基づいて判断できるようになる可能性も示されました。
また、大学生との比較から、学習が進むにつれて誤りの傾向は変化するものの、関数に関する誤った認識が完全になくなるわけではないこともわかりました。特に、大学生では、本来は関数とはいえないものまで関数と判断してしまう傾向も見られました。
こうした研究成果が評価され、数学教育学会2026年度春季年会大学院生等発表会において、「馬場奨励賞(学生優秀発表論文賞)」を受賞しました。
初めての学会発表で非常に緊張しましたが、自分が取り組んできた研究を専門的な場で評価していただけたことは、大きな喜びであり、今後の研究に向けた自信にもなりました。今後は大学院に進学し、本研究を踏まえた教材開発や授業実践に取り組んでいきたいと考えています。
最後に、丁寧かつ熱心にご指導くださいました先生方、調査にご協力くださった生徒の皆様、そして日々支えてくれた友人たちに、心より感謝申し上げます。