2011年8月14日 日刊県民福井新聞
原子力、交通、通信など幅広いテーマで現代技術との付き合い方を学ぶ本年度大学連携リーグ企画講座が12日夜、福井市のアオッサで始まった。1回目は福井大大学院工学研究科の松木純也教授が、都内の大型複合施設ビルで自動回転ドアに挟まれ男児が亡くなった2004年の事故を例に挙げ、効率を優先した技術の不完全さについて述べた。
県内の大学、短大など8教育機関が連携して取り組む講座で「技術とのつきあい方~事例に学ぶ」と銘打ち、9月22日まで7回開く。
松木教授は事故が起きた自動回転ドアについて「ビルの管理者は、回転ドアが事故前に誤作動でよく止まったため、ブレーキセンサーの機能を緩めた。また多くの人が出入りするため、回転速度を通常より早めていた」と述べた。
また安全の概念を、仮に事故が起きても大きな危険を伴わない「本質安全」と、システムを取り入れて危険を防ごうとする「制御安全」に分類し「事故が起きたドアでは制御安全に頼りすぎだ。設計の本来のあるべき姿は本質安全を優先し、そこに制御安全を付加すること」と解説した。
参加した市民や学生ら約40人は講演後、7グループに分かれ、事故の原因や対策について意見交換した。