2011年8月13日 福井新聞
県不動産鑑定士協会は10日、「福井市のまちづくり」をテーマにした公開講座(福井新聞社後援)を同市のアオッサで開いた。福井大大学院の川上洋司教授が「従来の区画整理事業主導型でなく目標指向型への転換が必要」と説いた。
本年度中に公益社団法人への移行を目指す同協会が、公益活動の一環として初企画した。協会会員や市民、市職員ら70人が受講した。
川上教授は、戦災と震災から復興した福井市の都市計画の経緯を振り返り「全国的に先駆けて都市インフラ整備が進んできた」と指摘。「駅が近くコンパクトに一体化した中心市街地は大きなメリット」とした。
一方、大型商業施設だけでなく公共施設も含めた郊外化や、車依存の進行など近年の問題点を整理しながら「区画整理事業主導型で、福井らしさの魅力形成に欠けビジョン軽視の風潮、官依存意識も高かった」と分析した。今後の課題として「短期的対応の積み重ねが将来の望ましい姿を実現するわけではない。例えば再開発は目的ではなく手段。官民で将来像を共有し、都市計画マスタープランに沿った目的志向型のまちづくりを進める必要がある」と力説した。