2011年8月25日 福井?日刊県民福井?中日新聞
福井大医学部の老木成稔教授(58)らのタンパク質分子に関する研究成果が、24日発行の米国の科学雑誌「ジャーナル オブ ニューロサイエンス」(電子版)に掲載された。このたんぱく質分子に異常がある場合、不整脈や神経系疾患などを引き起こす恐れがあり、今回の研究成果によって治療や新薬開発が進むと期待される。
このタンパク質分子は細胞膜にあって特定のイオンを通す特質を持っており、「イオンチャンネル」と呼ばれている。種類によって、カリウムやナトリウムなど特定のイオンを選択して通すことが分かっており、そのうち老木教授は、カリウムイオンを通すイオンチャンネルを対象に研究してきた。
その中で、カリウムイオンがチャンネル内をどう通過するか測定したところ、イオンと水分子がチャンネル内を交互に流れていることを突き止めた。
各チャンネルがイオンを選択するシステムは分かっていないが、今回の研究成果について老木教授はこの日、永平寺町松岡下合月の福井大松岡キャンパスで会見。「水分子が非常に重要な役割を担っているのではないかと考えられる」と説明し、そのシステム解明に向けて大きく前進したことを強調した。
老木教授によると、通常はカリウムイオンを通すイオンチャンネルが、それを選択することができない場合、不整脈や神経系疾患をなどの発症要因にもなるという。このため、「仕組みが分かれば対処法が出てくる」(老木教授)として、研究が進めば、これらの疾病の治療や薬剤開発などに役立つ可能性があるとしている。