2011年8月26日 福井新聞
繊維に機能性を持たせる従来の技術は、加工剤を混ぜた樹脂を繊維の表面にコーティングするのが主流だが、繊維がごわついたり、洗濯するうちに機能が低下するなどの課題があった。
堀教授らが開発した技術は、まず繊維に電子線を照射し、繊維分子の結合部分を新たにつくる。この繊維を、抗菌や消臭などの作用がある物質を溶かした液体に浸し加熱することで、分子結合によって機能性を持たせる。機能は半永久的に持続するという。
堀教授らは1997年から研究を開始。照射線量や照射時間、加熱時間など、繊維の素材ごとに適切な条件を割り出した。また、1分間で最大70メートルの織物(幅2メートル)に電子線を連続的に照射する機械を、クラボウ(本社大阪市)と共同開発した。
同社は2005年にこの機械を導入。抗菌、消臭、接触冷感、吸湿発熱の機能を持った4種類の生地を商品化した。
電子線照射による機能性付加はポリエステルやナイロン、綿、ウールなど約20種類の繊維で可能。堀教授は「この手法なら、いろんな機能を持った繊維をつくり出せる。産業用資材への応用も可能で、多様化する繊維のニーズにも対応できる」と話している。